東京高等裁判所 昭和56年(ネ)1010号 判決
不動産所有権の譲渡をもって代物弁済をする場合の債務消滅の効力は原則として単に所有権移転の意思表示をなすのみでは足りず、所有権移転登記手続の完了によって生ずるものと解すべきであり(昭和三九年(オ)第六六五号、同四〇年四月三〇日最高裁判所第二小法廷判決)、この理は所有権の得喪について登録をもって対抗要件とする登録ずみ自動車についても同様に解するほかはないところ、控訴人は訴外人から本件自動車を代物弁済により即時取得したと主張するのみで、所有権移転の登録を受けていないことは当事者間に争いがないから、仮に訴外人が真正の所有者であり、訴外人と控訴人との間で代物弁済の合意があったとしても、いまだ債務消滅の効果は発生せず、したがって控訴人が本件自動車の所有権を取得するいわれはなく、訴外人が真正の所有者でなかった本件においては、なおさらのことである。
(石川 廣木 原島)